経験を伝えるということ

(注)みどり工房若林は2019年5月1より「みどり工房長町」に施設名称が変更となっております。

お話:特定非営利活動法人 みどり会 地域活動支援センター みどり工房若林
施設長 今野真理子さん(当時)

今伝えたいことや思いはありますか?

 あの震災以降、震災経験やどんな備えをしていたか等、お話する機会があります。
 やっぱり、全国の海岸沿いにある福祉施設とか、同じように災害・津波が起きたらと不安を抱えているんです。
 この数年各地でお招きいただきお話しているのですが、果たしてそれが皆さんの防災に対する意識に届き、活かしてもらえているかなと不安に思うことがあります。
 熊本の地震が起きた時も私すごくショックで、私たちと同じようにつらい想いをしないように、私たちの震災の経験や想定して備えてきたことなどを活かしてもらえたらと伝えてきましたが、熊本やいろんな所で起きた人たちが同じ体験をしてしまい、お役に立てなかったのではと、つい思ってしまいます。
 災害発生を知るたびに、すごい悔しい想いをして、私みたいな者が伝えてどうにかなる問題ではないのは分かっているのですが、そう思ってしまいます。
 風化もありますし、その各地の人達の意識的な問題のところにどういうふうに訴えかければ、今後の災害時に彼らの生活を少しでも守れたり、災害時の福祉の課題とかをより理解してもらえるのかなというのは日々思っています。
 結局、私にできることはこうして話すことしかできないんです。
 まずは、私たちが経験した災害時の現状を知ってもらうことが、それぞれの考え方の何かの気づき・一歩になってもらえればと思っています。
 やっぱり福祉施設は災害時には、一般の方とはまた違う問題も発生しますし、だからこそこういう関わっている方には特に知ってもらいたいです。なぜなら、利用者さん・スタッフ含めて本当に震災で大変な思いをしたので、全国の仲間たちに、今後災害が起きた時に同じような思いをして欲しくないからです。
 震災後、県外海沿いにある福祉施設が法人全員で工房のお話を聞きたいと来られたところもあります。その後、私たちの経験談を踏まえて、防災対策に動いたことを聞きました。
 いろいろお話させて頂いたことが、今備えとしてその福祉施設に実際に役立ててもらえていることを聞くと、何か、ほっとします。そして、利用者さんを守るために行った私たちの備えや対応をそのまま生かすのではなく、その法人さんの中で協議してアレンジしていることもとっても良いです。どういうことが起きうるか知らないということは怖いことです。

ページの上へ戻る