~被災事業所の現在地~ きらら女川

事業拡大のために海沿いの新拠点に引っ越しをしている最中、突如襲ってきた大地震。大きな津波が女川の町に押し寄せ、新拠点はもちろん、今まで使っていた旧拠点さえも飲み込んでしまいました。

絶望に打ちひしがれる中、松原所長(当時)は、「みんなで生きる」、「利用者さんを見捨てない」という一心で前を向き、歩き始めました。

松原所長に取材を行ったのが10年前。震災から5年後でした。そして今の「きらら女川」はどうなっているのか?私たちは再取材を行いました。

対応していただいたのは現在の施設長、沼田さんです。

 

みやぎセルプ
ご無沙汰しておりました。お変わりないようで何よりです。

 

沼田施設長
そうですね。みんな元気にやっておりました(笑)。

 

みやぎセルプ
いまのきらら女川はどのような状況ですか?

 

沼田施設長
おかげさまで安定的に仕事を続けることができています。

 

みやぎセルプ
今の収益の柱は何なのでしょうか?

 

沼田施設長
やはり「おからかりんとう」です。ずんだ味やさんま味など20種類の味で展開しています。おからかりんとうは他企業さんのOEM商品を製造したり、地元のお茶屋さんとコラボレーションしたりしてますね。

 

 

 

みやぎセルプ
なるほど。通常おからかりんとうはどこで販売しているのですか?

 

沼田施設長
シーパルピア女川内の店舗でも販売していますし、青森県の弘前など全国の観光地でも販売しています。あとはきらら女川のECサイトでも販売しています。

 

みやぎセルプ
おからかりんとうは女川の味ですよね!他には何かありますか?

 

沼田施設長
「さんまパン」、「揚げまんじゅう」ですかね。こちらも重要なアイテムです。それと、シーパルピア女川内にある店舗「きらら女川」の運営や、女川町内の某施設の清掃作業、新しいところではしいたけ栽培なども重要な収益源になっています。

 

みやぎセルプ
しいたけ栽培もされているんですね。面白い!

 

沼田施設長
ひょんなことからご紹介をいただき、チャレンジしてみようということで始めてみました。きらら女川から車で7、8分程度のところに栽培施設があり、利用者4名、職員1名が作業しています。

みやぎセルプ
新しいことにチャレンジする姿勢が素晴らしいです。

 

沼田施設長
利用者さんの仕事を絶やさないということは、一番大事にしていることですね。仕事に関する情報収集は怠らないようにしています。

 

みやぎセルプ
10年前の取材時、当時の松原所長は「諦めないで小さいことを積み上げていった結果が今に繋がっているのかなと思っています」と仰っていました。その「諦めないで小さいことを積み上げる」とは具体的にどんなことだったのでしょうか?

 

沼田施設長
基本をしっかり守るということですね。基本を守るということは味を守るということでもあります。おからかりんとうを作る場合でも計量をしっかりする、材料の状態をしっかり確認する。季節によって材料の状態は変わりますので。どれも当たり前のことなんですけどね。

みやぎセルプ
仕事が途切れない理由はそこにあるんじゃないですかね。現在、きらら女川で働いている利用者さんは何名くらいいるのですか?

 

沼田施設長
24名ですね。このメンバーでおからかりんとうを製造したり、しいたけを栽培したり、清掃を行ったりしています。

 

みやぎセルプ
(ガラス超しにおからかりんとうの製造現場を眺めながら)今まさにおからかりんとうを作っているところですね?

 

~エース登場~

 

沼田施設長
そうですね。これから忙しくなるところです。そうそう、彼は凄いんですよ!

 

みやぎセルプ
ちょっと背の高い彼?

 

沼田施設長
そう。彼は日野さんっていうんですけど、ちょっと日野さんこっち来て!

 

日野さん
(人懐っこそうな爽やかな青年、日野さん登場)こんにちは!

 

みやぎセルプ
こんにちは!

 

沼田施設長
日野さんはうちのエースで、かりんとうの製造現場を仕切ってくれてます。この前、ラジオの取材が来たのですが、彼も話してくれました。

 

みやぎセルプ
それ、私も聞いていました。日野さん、仕事は楽しいですか?

 

日野さん
はい、毎日楽しいです!

 

みやぎセルプ
きらら女川に来て何年くらいになるのですか?

 

日野さん
そうですねぇ。9年目くらいですかね。

 

沼田施設長
日野さんはまさに職人で、かりんとうの生地も触るだけで水分が足りないのか、多いのか分かるくらいなんです。製造スケジュールや在庫の管理まですべてやってくれてます。日野さんは引きこもりで引っ込み思案な性格だったのですが、今では見違えるほど変わりました。日野さんのお母さんも「人ってこんなに変わるんですね」と驚くほどです。

 

みやぎセルプ
以前の取材の時に松原前所長が「職員が邪魔にされるくらいがちょうどいい」と仰っていましたが、まさにそんな状態ではないですか?

 

沼田施設長
ほんとにそうですね。もう日野さんがいないと現場は回りません。日野さんが休みの日はどうやって回そうかとあたふたするくらいです。

 

みやぎセルプ
すばらしいですね。こうやって利用者さんが成長するのってうれしいことですよね。

 

沼田施設長
私がきらら女川にいて一番良かったというかうれしいことは、人の変化、成長が見れることなんです。

 

みやぎセルプ
きらら女川が安定的に事業を続けていられるのは、施設長をはじめ職員全員が利用者さんを第一に考えて行動されているからなのでしょうね。

 

沼田施設長
課題はいろいろありますが、これからも利用者さんと一緒に頑張っていきます!

 

さいごに
久しぶりに訪問したきらら女川は活気に満ち溢れ、経営は順調そうに見えました。「利用者を見捨てない」、「諦めないで小さいことを積み重ねる」ことが大事と松原前所長は仰っていましたが、その精神は沼田施設長やスタッフに確実に引き継がれています。利用者さんの成長を見守る、新しいことにどんどんチャレンジする、職員の熱い想いがきらら女川の元気の源と感じられる取材でした。

 

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