自己肯定感

震災前後の利用者さんの変化

利用者さんたちも仕事のありがたみをより強く感じていたということでしょうか?

 そうですね、仕事というか、生きること自体の考え方が変わったと思います。その変化は、彼らにとってすごく強みっていうか、生きていく上でなにか変わったことなんじゃないかなって思います。それは、本人達も言ってました。
 発症によりご自身と社会との関係が変わることがあります。精神疾患は特に社会の理解も低いこともありますし、病状がしんどくて会社も辞めざるを得なくなったり、友達との関係も疎遠になったり。家族とうまく関係性が作れなくなったり、多くの当事者はとてもつらい経験をされています。
 自分への疎外感とか、病気になったから自分はもうダメなんだっていうような否定的な考えになってしまうことがあります。
 だけど、これまで自分を否定的に捉えがちだったけども、この震災を通して自分が今出来る役割を見出し、自己肯定感が広がったんです。生きていること自体がすでに一歩進んでいる・ありがたいと思うようになりました。
 生きていることが0じゃなくて1からスタートになってるという捉え方ですよね。その捉え方って大きく違いますよね、今までと。前向きにというか、自分をもっと大切にできるようになりますよね。そういう自身への捉え方・気づきの変化は、私達の支援ではなかなか超えられない壁です。
 自分で気づいた存在感っていうのは、自分のものですよね。それを震災は気づかせてくれました。
 つらい体験の中で見出したそういう変化は、今後の利用者さんの人生にとって代えがたい大きな力になっていますね。

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