避難所での困難

写真:写真左が職員の柳橋さん

お話:社会福祉法人 石巻祥心会 就労継続支援B型事業所 かなん
利用者 今野さん(男性/当時37歳・知的障害)
施設長 柳橋さん

避難所での困ったことや印象に残っていることはありますか?

柳橋さん:個人的には、私はこれまで認知症のひどい高齢者の方にお会いしたことがなかったんです。
 お年寄りの利用者さんで、暴言を吐かれるなどの話を実際に聞いてはいましたが、体感したことがなかったので(目の当たりにして)びっくりしました。
 けれど(避難所に来た)ボランティアの中には、そういう介護が上手な方がいらっしゃったんです。色々お手伝いして頂いたり、教えて頂きました。私には、とても勉強になる事ばかりでした。
 最終的に、身寄りのないお年寄りの方達も何人かは家族が見つかったんですけど。結局、現状では面倒をみる事が難しいという理由から、県外の老人ホームにご家族と移られた方々がいらっしゃいました。中でも、「誰も居なくて…」って言って、スタッフをずっと頼ってくれたおばあちゃんと別れるときはちょっと辛かったですけどね。
 その他、被災された方々が他の避難所と様子を比べられるというか、「なんであっちにはちゃんとご飯出てるのにここは来ない」のとかを言われることがあって。
 確かに、正式に元々避難所指定を受けたところではないので、認知されて自衛隊が確実に、定期的に支援に来るまでには時間がかかったんですね。
 避難所になった「ひたかみ園」にあった材料とか、法人内の物をそこに運んで食べていただいてたのですが、一般の方が時々違う避難所に行って色んな情報を聞くと「なんでここの避難所は○○なの?」等の意見を聞くと、悲しい気持ちになった事を覚えています。
 その時にできる最前の事はさせて頂いていたという気持ちがあっただけに、互いの気持ちが理解しあえない、今の環境が震災の被害という事がこんな所にも表れてくるのだと
自分の気持ちも踏まえ、災害の辛さを感じました。
 一般の方々はそのような中でしたが、利用者さん方はご家族と一緒だったのであまり不安になることもなく過ごしていたように思います。

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